ちまたで話題の働き方改革。みなさんの職場は安全ですか?
労働者の安全と衛生について基準を定めた法律「労働安全衛生法」と「医療法」の観点から、医療機関ではたらく皆さまの安全と健康について考えてみたいと思います。

医療機関の責務

多くの医療機関には、レントゲン、CT、マンモグラフィ等の機器が設置されている「エックス線室」が開設されています。私たちの体内の異常を見つけたり治療のために照射したりするエックス線は、患者様にとって病気の早期発見や診断、治療に無くてはならない大切なものです。一方、医療機関ではたらく人々は1日何時間もまた何年間もエックス線装置が開設されている建物で仕事をすることになります。ご存知のように一度に大量のエックス線を浴びてしまうと健康を害してしまい、取り返しのつかない事態に陥ることもあります。また無用な被ばくは避ける必要があります。そのため、医療機関は、働く人々が安全に安心して仕事ができるよう法令で定められた放射線量測定を実施する必要があります。

法令上適合施設としての医療機関

法令上適合施設とは、医療機器の安全や精度になんら問題がなく(医療法)、患者様、医療従事者が無用な被ばくをしない(労働安全衛生法)法律を遵守した施設のことです。
エックス線室を開設した医療機関は、以下の法令に従い、医療提供体制の確保と職場における労働者の安全と健康を確保する必要があります。

法令 医療分野における放射線の管理内容
医療法 医療提供体制の確保
薬機法 放射性医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等
労働安全衛生法

 

※作業環境測定法

※電離放射線障害防止規則

医療機関における診療従事者の被ばく管理

 

作業環境の測定に関し作業環境測定士の資格及び作業環境測定機関等について必要な事項

電離放射線防止の安全基準

医療法が定めた放射線量測定

医療法では、エックス線室を管理するにあたり、エックス線の漏洩線量を測定したり医療用機器の安全や精度を確認したりすることが義務付けられています。

  1. 6月を超えないごとの漏洩線量当量率(μSv/h)の測定
  2. 3月評価測定
  3. 医療用機器の安全、精度確認
  4. 計量証明書
  5. 測定器の校正

医療放射線管理に係わる行政指導

医療法25条 立入検査による指導
都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができるとされています。

行政指導・罰則等について
引用:厚生労働省 第1回医療放射線の適正管理に関する検討会 資料2 平成29年4月19日

労働安全衛生法が定めた放射線量測定

「放射線業務を行う作業場」は、有害業務を行う屋内作業場として定められています。そのため、事業者は必要な作業環境測定を行って、その結果を記録する必要があります。
測定は、有害な因子(放射線)がどの程度存在し、その作業環境で働く人々の有害な因子(放射線)にどの程度さらされているのかを把握します。

!ご注意ください

※測定基準に従っていない測定は作業環境測定としては認められていません。
※作業環境測定法では、作業環境測定士もしくは作業環境測定機関に測定させることを規定されています。